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ナイトフラワー【レビュー】

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映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智

REVIEW

『ミッドナイトスワン』で第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督が、“真夜中シリーズ”と銘打つ本作は、2人の子どもを育てるシングルマザーが主人公です。借金取りに追われる夏希(北川景子)は、子ども達と東京に引っ越し、昼夜掛け持ちで働いているものの、食べる物にも困る生活をしています。そんななか、偶然ドラッグの密売現場に居合わせた夏希は、咄嗟に手に入れたドラッグを売って、生活の足しにしようとします。でも、それがきっかけで、闇の世界に足を踏み込んでしまいます。

映画『ナイトフラワー』北川景子

本作は、母親は子どもを守るためにどこまでやるべきかを問うてきます。子どものために何でもやる母親のストーリーは美談にされがちですが、それほど単純な話ではありません。夏希の視点で観れば同情できたとしても、別の母親(田中麗奈)の存在がいることで、代わりに誰かが犠牲になっている現実も描かれています。だから、現代社会の生きづらさを一層実感します。

映画『ナイトフラワー』渋谷龍太/渋川清彦

経済的な貧しさと、人間関係の破綻による心理的な貧しさの両方が描かれている点も印象に残ります。この対比は、お金がなくても不幸、お金があっても不幸という究極の選択に見えて、現代社会で二極化する生きづらさを象徴しています。つまり、本作を悲観的に観ると、何かを得れば何かを失うトレードオフが前提になっている厳しい現実を目の当たりにすることになります。

映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智

一方で、家族のためならすべてを犠牲にするという精神を、人間らしい生き方の最後の望みと捉えることもできます。ネット社会が普及し、スマートフォンの出現によって、“個”としてある程度何でもできる社会になりつつある今、経済状況の善し悪しにかかわらず、家族の存在価値は、人間らしく生きられるかどうかの要になっているのかもしれません。本作はとことんまで、生々しく生きづらさを体感させることで、観る者の人生観を改めて問うてきます。結末をどう受け止めるかによって、あなたの人生観に関するある種の答えが出てくるのではないでしょうか。

デート向き映画判定

映画『ナイトフラワー』森田望智/佐久間大介(Snow Man)

深いテーマを扱っており、重くて辛い展開が多いので、デート向きとはいえないものの、複数のキャラクターが究極の状況に追い込まれる様子を観ることで、自ずと自分の人生観を振り返るきっかけになります。だから、感想を話すと根本的な部分で人生観が合うかどうか占えるのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智

キッズやティーンのキャラクターも登場するので、誰かしらに感情移入できると思います。苦境のなか懸命に生きるキャラクター達を観て、自分事に思えるのか、他人事に思うのかによって、一日いちにちの過ごし方、人との接し方が変わる部分もありそうです。

映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智/佐久間大介(Snow Man)/渋谷龍太

『ナイトフラワー』
2025年11月28日より全国公開
PG-12
松竹
公式サイト

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©2025「ナイトフラワー」製作委員会

TEXT by Myson

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